ロケうら~「青根小学校」最後のロケ

「3月31日に青根小学校でロケできないか」

そう問い合わせがあったのは3月29日(火)でした。
月末の年度末、先生方は異動と新学期の準備でお忙しいはず。

「学校に確認してみますが、あさってとは急な話しですし、忙しい時期なのでできるかわかりませんよ」

そうお答えし、青根小学校へお電話しました。
正直、断られてしまうだろうと思っていました。映画やCMではなくバラエティ番組。
先方はクイズの時代背景に合わせて木造校舎で撮影したかっただけで、ほとんど青根小学校のPRにはなりません。
青根小の児童のみなさんに出演依頼があったわけでもありません。
しかし、校長先生は

「どうぞ!少しでも青根小学校をPRしたいので!」

と快く応じてくださいました。
問い合わせの2日後に学校でロケできるなんて、なかなかないことです。

撮影当日。

私が到着すると、ロケ隊はすでに撮影を始めていました。
予定時間より大幅に早く到着していたそうです。到着前に電話をいただける約束は守られませんでした。
お忙しい先生方に代わってフィルムコミッションが対応するお約束だったのに。
そんな非礼にもかかわらず、教頭先生は親切に対応してくださったそうです。
年度末の学校がどんなにお忙しいか想像ができないんでしょうね。
約束の時間に到着した時の私は鬼の形相だったはずです。

フィルムコミッションを担当してから、色々な学校へ協力依頼をしてきました。
今回のような、急な話ではお受けいただけなくて当然の案件でした。
青根小学校だから成立したのです。

エキストラとして児童さん全員参加! 監督と主演女優さんは快く記念撮影に応じてくださいました

歴代の青根小学校の校長先生方は、どなたも青根小学校のために快くご協力してくださいました。
青根の人間ではありませんが、私たちフィルムコミッションも、あの木造校舎が大好きでした。

ドラマ「CHANGE」のポスターは大切に玄関に掲示してありました

ドラマ「CHANGE」のポスターは大切に玄関に掲示してありました

火事の翌日、思い切って学校を訪ねました。
無残な校舎を見た途端、涙があふれて止まりませんでした。
先生方はもう泣き疲れて涙も枯れてしまったように見えました。
いつもお世話になっている地域の方にもお会いでき、一緒に泣きました。

「青根が泣いている」

そうおっしゃいました。

ロケした教室は跡形もなく

ロケした教室は跡形もなく

フィルムコミッションとして、これまで何かお役にたてたことがあるだろうか?考えました。
これまで青根小学校にご協力いただいた作品が、映像が、この世に存在しているということ。
形は無くなってしまったけれど、作品の中で当時の映像を見ることができます。

朝倉啓太は確かにここにいました

朝倉啓太は確かにここにいました

「あのドラマロケ地の学校が火事だなんて!」
そう嘆いてくださったドラマ視聴者の方々もいらっしゃいます。

「いつかあの木造校舎で撮影したいと思っていたのに!」
そう心配して電話をくれた制作スタッフの方もいました。

地域の中心であり、宝であり、誇りであった青根小学校の木造校舎。
謹んでお見舞い申し上げます。

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